砂原線

2004年8月8日に砂原線に乗っている。以下にそのメモを少々。

砂原線というのは函館本線の別線で、大沼〜森間の35.3kmである。駒ヶ岳の勾配を回避すべく新たに建設された。現在、ここを走るのは、各駅停車や貨物列車が中心で、特急などはすべて函館本線をまっすぐ抜けてしまう。

宮脇俊三の『最長片道切符の旅』では急行「すずらん2号」に乗車している。今はなくなった急行で、砂原線回りである。「列車は駒ヶ岳の裾を大きく巻きながら緩い勾配をぐんぐん登って行く。左窓に対岸の室蘭を望み、駒ヶ岳のなだらかな山腹を走るのでなかなか爽快である。裾の美しい貴婦人のような駒ヶ岳の全容を眺めるには旧線のほうがいいが、砂原線の車窓も捨てたものではない。」(新潮文庫版 p. 88)と記している。

とはいえ、「すずらん」なる急行はもうない。しかしながら、急行で砂原線を走るのは「はまなす」がある。はまなすには、2003年9月17日にすでに乗っているが、それは函館から札幌までの下り線である。上り線だけが、この砂原線を通るのである。上りの急行はまなすには2004年8月8日に乗った。以上のような知識はないから、狙ったものではない。そして、知識がないなりに、宮脇俊三の紀行文を追体験するわけでもなく、ここ砂原線は眠ったまま過ぎた。

ついでながら、函館本線自体は完乗していない。長万部〜小樽が未乗である。この区間、鈍行で3時間もかかり、数少ない北海道旅行で、予定に組み入れられないでいる。特急は冬に一部分走るだけで、他に優等列車はない。2000年の有珠山噴火の際には、室蘭本線が運休し、ここに迂回したというが、災害を望むのも不謹慎というものだ。